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 耐震強度偽装事件への行政対応を検証してきた国土交通省の第三者機関「緊急調査委員会」(座長・巽和夫京大名誉教授)は「建築士制度の機能不全が偽装の原因とみられる」とする一方、「公表時期が政治家によってゆがめられた点はなかった」とする最終報告書をまとめた。6日に北側国交相に提出する。報告書は、現行制度の問題点を指摘したものの、過去の行政や国会の責任には言及せず、政治家の関与についての調査もごく一部にとどめた。

 同省の対応について報告書は、昨年10月に担当者が偽装の通報を受けてから大臣に報告するまでに1週間かかったことを、「担当者が重大性を理解できず、上司への報告体制もなく、反省すべき点」と指摘した。

 ヒューザーの小嶋進社長が昨年11月の問題公表前後に伊藤公介・元国土庁長官と共に国交省を訪ねたり、安倍官房長官の秘書に相談したりしたことへの言及はなく、単に「公表時期が、政治家からの働きかけでゆがめられたような不自然な点はなかった」とした。

 ただ、政治家の介入について調査委が直接聞き取りをしたのは、同省住宅局の局長と担当課長だけ。他の幹部の事情聴取は行わず、省内調査の報告を受けただけだった。

 事件を教訓に、現行制度の改善点も提言。倫理・技術に劣る者を排除できなかった建築士制度の問題点を指摘し、構造設計者の地位の確立や建築士の倫理教育の強化、賠償責任保険の加入義務化などの必要性を説いた。

 また、偽装マンション建て替え支援策については、「政府内の迅速な合意は評価できるが、(自然災害の支援より手厚すぎるとの)誤解を生んだことが惜しまれる」とし、構造計算の計算方法による耐震強度の差をめぐって住民に混乱が起きていることは「情報提供が不足していた」と認めた。

 調査委は大臣直属で、昨年12月、構造計算書の偽造を見過ごした民間検査機関と自治体の責任や、国交省の対応の適否を調べるために設置された。業界代表や同省OBを除く法律家やジャーナリストらを委員に、被害住民や民間検査機関から事情聴取を重ねてきた。
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